日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式

国のために
  • 活動報告

日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式。

硫黄島の戦いは、日米ともに死力の限りを尽くした、戦史史上類のない熾烈を極めた悲惨な戦い。
かつて戦いを交えた者同士が集い、合同で慰霊追悼を続けているのは世界でただ一カ所、ここ硫黄島のみです。
今日の平和と繁栄は、多くのご英霊の貴い犠牲の上に成り立っていることを心に刻み、決して忘れることなく、次の世代に伝えてまいります。
ご英霊に対し心から哀悼の誠を捧げ、世界の平和と繁栄のために日米両国が一層緊密に協力していくことをお誓い申し上げます。
数多くのご英霊はこの小さな島で眠り続けておられます。一刻も早く一人でも多くのご英霊のご遺骨を故郷にお帰りいただけるよう全力を尽くしてまいります。

硫黄島問題懇話会 逢沢一郎会長 追悼のことば(抄)

硫黄島戦は、日米ともに死力の限りを尽くした、戦史史上稀にみる激戦でありました。日米双方で約二万九千名もの若者がこの小さな島で命を落としました。この事実は広く世界に伝えられ、今日に語り継がれています。
そうした激戦が繰り広げられたこの島で、七十数年の歴史を超えて固い友情を確認されるご様子を目の当たりにして、深い感動を覚えます。かつての敵同士が和解を成し遂げ、今日では同盟国として、アジア太平洋地域の平和と安定、繁栄に大きく貢献しているのです。

第二次世界大戦末期、この島において、水、糧食、弾薬ことごとく尽き、生還の望みもない状況に追い込まれても、なお、本土防衛のための一石たらんと、一ヶ月以上も地下壕に留まり、勇猛果敢に戦い、玉砕された日本軍将兵の皆さんの祖国愛、郷土愛そして家族愛に思いを致すとき、深い哀しみとともに、畏敬の念を禁じ得ません。また、この地に倒れた幾多の米軍将兵の皆さんも遠く離れた祖国、故郷、家族への思いは同じであったと思います。
祖国や国民、また故郷や家族のために勇敢に戦い、戦死された日米双方の兵士の方々を私たちは永遠に顕彰し続けなければなりません。また数多くの日本将兵はこの小さな島で眠ったままです。一刻も早く一人でも多くの方々のご遺骨を故郷にお帰りいただけるよう私たちは全力を尽くすことをお誓い致します。

今日、私たちが享受している平和と繁栄は、多くの英霊の犠牲の上に成り立っていることを、私たちは決して忘れてはなりません。ここに、英霊に対し心から哀悼の誠を捧げ、また、世界の平和と繁栄のために日米両国がより緊密に協力していくことを誓うものであります。
終わりに、かつての敵味方が再会し、永久の友情と平和を祈念するという世界に例のない、本日の慰霊追悼・顕彰式の開催のために、硫黄島協会、米国硫黄島協会、在日米軍、自衛隊、外務省ほか関係者の方々より多大な御尽力を賜りましたことに、心から御礼を申し上げ、私の追悼のことばといたします。

遺族代表 日本国 元総務大臣 新藤義孝衆議院議員 追悼のことば

先の大戦の最大激戦地、硫黄島の戦いから76年目となる本年、日米硫黄島戦没者合同慰霊追悼顕彰式が開催できることを嬉しく思います。

今回も新型コロナウイルス感染状況を考慮し、日米関係者による代表慰霊となりましたが、大切な式典を続けられていることに大きな意義を感じています。
かつて戦いを交えた者同士が集い、合同で慰霊追悼を続けているのは世界でただ一カ所、ここ硫黄島であることを誇りに思い、深い感慨を覚えます。
76年前、この島の戦闘は激烈を極め、多くの戦死傷者を出し、硫黄島は歴史に名を残すことになりました。日本の兵士たちは五十度を超えるような地下壕に耐え、食べるものも飲む水もないまま必死に戦い抜きました。圧倒的な兵力差の中で、追い詰められた人々は、逃げず、へこたれず、故郷に残した家族や愛する人たちのために、最後まで自らの役を果たし続けました。
そして、70年経った2015年4月、米国議会にて日本の安倍晋三総理大臣が演説を行い、私たちの硫黄島における取り組みが、戦後の日米両国の和解と信頼の象徴として紹介されました。
会場は総立ちとなり、最大の拍手が鳴り響くなか、米側指揮官の一人だったスノーデン海兵隊退役中将と、日本側の最高司令官・栗林忠道陸軍大将の孫である私は、万感の思いを込めて固い握手を交わしました。

「硫黄島で戦った勇者達の魂は報われたのです。」

私たちは、祖国のため、家族のために戦った勇者に心より哀悼の誠を捧げると共に、現在の平和と繁栄が貴い犠牲の上に成り立っていることを心に刻み、次の世代に伝えていかなくてはなりません。
一方で、地下壕に潜んだ旧日本軍兵士の遺骨収容は未だ五割に留まり、1万1千人余りの方々がこの島で眠り続けています。
硫黄島協会は英霊の追悼・顕彰を行うと共に、全員のご遺骨が故郷にお還りいただけるよう、引き続き活動を続けてまいります。
そして、今や強固な同盟関係を結ぶ日・米両国が世界の平和と安定のために行動していけるよう、日・米の硫黄島協会が共に手をたずさえて、友情と信頼の絆を深めてまいりたいと願っています。
本日の合同慰霊式の開催に当たり、多大なるご支援をいただきました自衛隊、外務省、防衛省、厚生労働省、関係の皆さま、並びに米国関係者のご協力に深く感謝を申し上げ、遺族を代表し追悼のことばといたします。